視力検査は自覚的屈折検査といって、目の度数を考えながら患者さんに見え方を聞いて視力検査を進めていく方法です。
自覚的屈折検査
言葉が難しい。簡単にいうとこういうと、こうです
自覚的→患者さんの見え方を聞く
屈折検査→目の度数を測定する
でも、患者さんの答えが人によって違うから、すごく難しい。
わかる。確かに難しい。頭の中で、前焦線・後焦線・最小錯乱円を意識して測ってる?等価球面値の意味はわかる?
何・・・?どういうこと?視力検査の手順は知ってるけど、そんなこと考えて測ったことない・・・・
そう思ったら続きを読んでくださいね。
何回かに分けて、自覚的屈折検査の基礎になる目の度数や視力検査のことを、できるだけ簡単に説明したいと思います。
超超初心者さん対象です。
視力検査の本を買って読んでみたけど、チンプンカンプン。全然わからん!
そう感じている人は、ぜひ読んでほしい。
少し教科書の方法や考えとは違うかもしれないけど、理解しやすいように考えました。
屈折と目の度数の関係を理解して、自覚的屈折検査をできるようになりましょう!
近視・遠視・乱視と目の状態
私って乱視ありますか?最近、見にくくて・・・
そう聞かれること、ありますよね。
「目の病気がないのに、見にくい!」その原因は遠視や近視・乱視があるからです。
近視や遠視・乱視はどんな見え方?どんな状態?どうイメージしたらいいの?
正視は、近視・遠視・乱視が何もない状態
遠視や近視・乱視、なーーんにもない状態の目を正視といいます。
遠くを見ても、近くを見てもハッキリとピントが合って見える状態です。
目の状態は、こうです
網膜にピントがのっていると、見たものはキレイにピントが合って見えます。
網膜からピントの合う場所が離れていると、ピントがズレて見えます。
近視は網膜より手前にピントが合う状態
近視は近くを見るときにピントがあいます。遠くを見るときはぼやけて見えます。
目の状態はこうです
図でいうと、網膜より角膜側(左側)にピントが合う状態を、網膜より手前にピントが合うといいます。
遠視は網膜の後ろにピントが合う状態
遠視は遠くを見る時も近くを見る時もピントが合いにくい状態です。
網膜の後ろにピントがあっているので、遠くも近くもぼやけて見えます。
若い時は調節力を使って遠くと近くにピントを合わすことができます。調節力が働くと網膜の中(左方向)に向かってピントが動きます。
遠視でピントの位置が網膜より後ろにある人は、調節力が働くとピントの位置が網膜の方向に動きます。調節力を使って網膜にピントをのせることで、軽い遠視の人の中は遠くがよく見えます。
年齢と共に調節力がなくなってくると、網膜にピントを合わせることができなくなりす。
遠くを見るときにもピントの位置が網膜の後ろから動かないので、遠くも近くもぼやけて見えます。
遠視がある人が
昔はよく見えていたのに、遠くも近くも見にくくなった
そう言いうのは、遠視の量と調節力が関係しています
乱視はピントがあう位置が2つある
どの距離を見てもピントがズレてる状態が乱視です。
乱視はピントが合う位置が2つあります。目の形が関係しています。
目の形がバレーボールのような丸い形をしているのではなくて、ラグビーボールのように楕円形の形になっています。
縦と横の長さが違うので、縦方向のピントと横方向のピントの合う位置がズレます。結果、どの距離でも少しピントがズレてしまいます。
乱視がない場合、1つの場所にピントが合う
乱視があると、方向によって度数が違うのでピントが合う位置がズレます
- ピントが合う位置が2つとも近視の場合は近視性乱視
- 2つとも網膜の後ろでピントが合う(遠視)のときは遠視性乱視
- 1つのピントは遠視、1つのピントは近視の時は混合乱視
検眼レンズは目の度数のピントの位置を動かす役割
自覚的屈折検査のときに使う検眼レンズは3つあります
- プラスレンズ
- マイナスレンズ
- シリンダーレンズ(円柱レンズ)
プラスレンズはピントを前に動かすことができて、マイナスレンズはピントを後ろに動かすことができます。
網膜にピントがあるとハッキリ見えます。
近視・遠視・乱視があるとき、どのレンズを使うか次の項目で説明します。
近視に使う矯正レンズ
近視は網膜の中にピントがあります。
自覚的屈折検査をするときは、網膜の中にあるピントを網膜に近づけます。ピントを後ろに動かします。
遠視に使う矯正レンズ
遠視は網膜より後ろにピントがあります
網膜にピントを動かすには・・・
そうです。前にピントを動かすことができるプラスレンズを使います
乱視に使う矯正レンズ
さて、問題は乱視です
乱視はピントが合う位置が違います
まずは、ピンク色の後ろのピントを矯正します。考え方は近視や遠視と同じ。遠視ならプラスのレンズを使うし、近視はマイナスのレンズを使います。
後ろのピンクのピントが網膜にのると、こうなります
前にある青のピントを網膜に乗せるにはシリンダーレンズ(円柱レンズ)を使います
円柱レンズは線の印がついているレンズ
検眼レンズセットの真ん中あたりに入っているレンズです。
円柱レンズは1つの方向にだけ度数が入っています。1つの方向にだけ度数が入っているので、青のピントだけ網膜にのせることができます。
もう少し簡単に目の度数の位置を想像してみる
もう少し簡単に目の度数を絵に書いてみます。
ポイントはピントの位置=焦点(焦線)の位置を考えることです
教科書や本を見ると
こんな絵や記号を見ると思います
この意味がわかる人は、本を見て知識を深めましょう。
見たことはあるけど、意味はわからん・・・
はい。大丈夫です。
意味が分からなくても大丈夫。
もっと簡単に考えて理解しましょう。
近視のイメージを簡単に目の絵にする
近視は網膜の手前にピントがあります
もっと簡単に書くとこうです
近視の度数がS-3.0Dの人のピント位置は…こうです
めちゃくちゃシンプル
近視・・・網膜より手前にピントがある
なのでピントを後ろに動かすことができるマイナスの検眼レンズを使う
S-3.0Dは網膜にピントを合わすためにマイナスの3.0Dのレンズが必要ですよ、ということです。
つまりS-3.0Dの目は網膜より手前にピントがあります、ということです。絵で書くとこうなります。
そう。近視の度数が3.0Dの人の目の度数のイメージは、これです。
遠視のイメージの絵
遠視の場合も同じです。
これがS+3.0Dのイメージです
網膜の後ろにピントがある・・・遠視・・・遠視の度数はS+3.0D
このようにピントの位置を点で理解していくとシンプルでわかりやすいです
乱視もピントの位置を簡単に書いてみる
乱視の場合はどうでしょうか?
S+3.0D:C-1.0DAX90°
遠視が3.0D、乱視が1.0Dで乱視の角度は90°ですよという意味の式です。
この度数の目の状態をイメージすると?
まずS+3.0Dはわかりますね
つぎ、C-1.0DAx90°
円柱レンズのマイナス1.0Dのレンズを軸を90°にして入れました。という意味です。
- 乱視はピントが合う位置が2つある
- マイナスの円柱レンズは1つのピントだけを動かす
でしたね。
ということは、1つのピントはS+3.0Dでもう1つのピントの位置は、S+3.0Dの位置より手前にあるということです。
どのくらい手前にあるかというと、乱視度数の分だけ手前にピントがあります。この場合C-1.0Dなので1.0D手前にもうひとつのピントがあります。
手前にあるピントの度数はS+2.0D。
ピントの位置はS+3.0DとS+2.0Dです。
・乱視の目の度数のイメージを理解した
・最小錯乱円について