この記事は自覚的屈折検査の基礎シリーズ②です。
眼科で測る視力検査のことを自覚的屈折検査といいます。

最小錯乱円?また難しそうな名前・・・。

大丈夫。近視・遠視・乱視のピントの位置がわかれば、最小錯乱円もわかります!

やったー!!
そう思ったら続きを読んでくださいね。
自覚的屈折検査の基礎シリーズ①をまだの方は、①からどーぞ。

前回のおさらい(近視と遠視のピントの位置)
まずは自覚的屈折検査の基礎シリーズ①「近視・遠視・乱視とピントの位置」の復讐をします。
近視のピントの位置は、網膜の手前にある
遠視のピントの位置は網膜より後ろ
問題を一緒にしてみましょう
- S-1.0D
- S-3.0D
- S-7.0D
- S+0.5D
- S+5.0D
この度数のピントの位置はどこになるかイメージします
- S-1.0D
- S-3.0D
- S-7.0D
- S+0.5D
- S+5.0D
・遠視は網膜の後ろにピント
・度数が大きいほど網膜から離れたところにピントがある
乱視のピントの位置をイメージする
つぎは乱視のピントの位置をイメージします。
乱視はピントの位置が2つあります
乱視を矯正するときに使う、マイナスの乱視のレンズ(円柱レンズ)はレンズに印がついているレンズです。
このレンズは1つのピントの位置だけを後ろに動かすことができます
S+3.0D:C-1.0DAx90°の場合
この度数の意味は遠視の度数が3.0D・乱視の度数は1.0D・乱視の角度は90°、という意味です。
1つ目のピントはS+3.0Dにあります。
もう1つのピントの位置は、S+3.0Dより乱視の度数(1.0D)手前にあります。
ピントの位置は1つ目はS+3.0Dで、もう1つはS+2.0Dになります。
簡単に書くと、ピントのイメージはこの図です。
ここまでが前回の復讐です。乱視はイメージをつかめるまで、時間がかかるかもしれません。ゆーーーーっくり理解しましょう。
練習問題をしてみる
練習問題を、一緒に考えます
- S+3.0D:C-2.0DAx90°
- S-1.0D:C-1.0DAx90°
- S+2.0D:C-3.0DAx90°
- S+1.0D:C-1.0DAx90°
- S+1.5D:C-0.5DAx90°
- S-2.0D:C-1.25DAx90°
- S+3.0D:C-1.25DAx90°
ちょっとした算数の問題のようになってきてしまいますが、頑張ってやってみてください。
- S+3.0D:C-2.0DAx90°
- S-1.0D:C-1.0DAx90°
- S+2.0D:C-3.0DAx90°
- S+1.0D:C-1.0DAx90°
- S+1.5D:C-0.5DAx90°
- S-2.0D:C-1.25DAx90°
- S+3.0D:C-1.25DAx90°
自分でも度数を考えて、スッと思いくまで練習してみるのがおススメです
最小錯乱円は前焦線と後焦線の真ん中にある

乱視のピントの位置がわかれば、次は最小錯乱円です
2つのピントの位置をわかっていれば、簡単です。
前焦線と後焦線の間にできる円のことを最小錯乱円といいます。
前のピントと後ろのピントの間にできる円が最小錯乱円です。
最小錯乱円の位置をイメージする
最小錯乱円がわかったら、最小錯乱円の位置をイメージしてみましょう。
S+3.0D:C-1.0DAx90°の度数の場合
度数の位置のイメージはこう
前のピントと後ろのピントの位置が最小錯乱円なので、最小錯乱円の位置のイメージはここです
最小錯乱円は2つのピントの真ん中なのでS+2.5Dです。
練習問題をしてみよう
乱視のイメージをした度数で最小錯乱円を考えてみましょう
- S+3.0D:C-2.0DAx90°
- S-1.0D:C-1.0DAx90°
- S+2.0D:C-3.0DAx90°
- S+1.0D:C-1.0DAx90°
- S+1.5D:C-0.5DAx90°
- S-2.0D:C-1.25DAx90°
この計算はすごくややこしいですね。1.25Dの半分は0.625Dなので最小錯乱円を考えるときは、S-2.0Dに0.625Dを加えます。乱視度数1.0Dの半分は0.5Dです。それより少しマイナス側に移動するのね、というイメージです。
- S+3.0D:C-1.25DAx90°
これも同じです。一気に計算できれば問題ないですが、計算が苦手・・・というときの考え方。まず乱視が1.0Dなら最小錯乱円は後ろのピントの位置より0.5D手前に動きます。S+2.5Dの位置です。乱視が1.5Dなら最小錯乱円は0.75D動く。乱視1.25Dのばあいは、0.5Dと0.75Dの間です。
きっちりS+2.375Dと覚えなくてもS+2.5Dの位置より少し手前ね。S+2.5DとS+2.25Dの間くらいね。
というくらいのイメージがあれば大丈夫です。
しっかりイメージができてから、計算のコツをつかむ
- 目の絵
- 後ろのピントの位置
- 乱視の度数
- 前のピントの位置
- 最小錯乱円
これがしっかりイメージできたら、最小錯乱円を計算するときのコツをつかむ練習をします。
・S面の数値から乱視の半分の量を手前に動かす
※S面がマイナス(近視)のときは近視が増えて、S面がプラス(遠視)のときは遠視の量が減ります。

今までイメージで考えてきた度数をコツをつかって数字で計算してみます。
S+3.0D:C-2.0DAx90°
・乱視の量は2.0Dなので半量は1.0D
・最小錯乱円は、S面の値より手前にピントが動く
・S面の値はプラス
・遠視が減る
※手前にピントが動くイメージをしっかりと。
・最小錯乱円はS+2.0D
S-1.0D:C-1.0DAx90°
・乱視の半量は0.5D
・S面はマイナスなので、近視の度数が増える
・最小錯乱円はS-1.5D
S+2.0D:C-3.0DAx90°
・乱視度数は―3.0D
・乱視の半分の量は1.5D
・S面は+2.0Dを手前に1.5D動かしたところが最小錯乱円
・最小錯乱円はS-0.5D
このコツを使って、続きの度数も最小錯乱円を計算してみてください
S+1.0D:C-1.0DAx90°
最小錯乱円はS+0.5D
S+1.5D:C-0.5DAx90°
最小錯乱円はS+1.25 D
S-2.0D:C-1.25DAx90°
最小錯乱円はS-2.625D
S+3.0D:C-1.25DAx90°
最小錯乱円はS+2.375D

大切なことはあくまで、初めに考えたイメージ化です
イメージ化をすることで、計算方法を忘れても計算方法を思いだすことができます。
でも、計算方法だけを覚えてしまうと、ただの暗記になってしまって自覚的屈折検査をするときに頭がぐちゃぐちゃになってしまいます。イメージで考えるようにすると楽です。
まとめ
ここまでが、最小錯乱円のお話です。私は、このイメージをもとに自覚的屈折検査の説明や等価球面値の説明をすることが多いです。
ピントの位置を考えて、ピントがどう動くのかを想像します。
細かい数字は計算できなくても大丈夫。
ピント位置のイメージは自覚的屈折検査の基礎なのでイメージできるようにしておくと便利です。
最小錯乱円がわかれば、等価球面値もわかります。
今日のポイント
・最小錯乱円の意味とイメージができる
・最小錯乱円の計算ができる

これ、ええやん。これならちょっとは自覚的屈折検査ってなにかわかりそう。
そう思ってくれたら、次回もまた読んでくださいね。