等価球面を極めるシリーズでは
等価球面って何?を知って
実際に使えるようになる練習をしています。
前回のハンフリーの記事の最後に次のテーマとして、割り切れないときはどうする?と書きました。
その後、ハンフリーの割り切れないときはどうするかを書き始めたのですが…
この内容、1回でわかるー?
ムリよねー。書いてて私がややこしくなってきた。
実際に検眼レンズと検眼枠を目の前でながめながら、シュミレーションしてみるとできるんです。
でも、言葉で説明しようとすると
えー。なんか難しいな…。
と思ったので、今回は割り切れないときはどうする?の前に頭の準備体操をします。
今日はイメージで乱視と度数の関係を詳しく確認をしたいと思います。
考え方をイメージ化
まず、ちょっと今回は内容が長くなるので、先にイメージを書きます。
そのあと詳しく説明して、最後にもう1度同じイメージをのせます。
乱視を少なくして等価球面するとき
乱視を少なくして等価球面したいけど、乱視が割り切れなくて等価球面できない
変えたい乱視が0.75Dなら、割り切れないから乱視の度数を1.0Dか0.5Dとして計算して考えます。
乱視を大きめの1.0Dにして計算したらマイナスより、小さめの0.5Dにして計算したらS面はプラスよりになります。
S面がプラスより、マイナスよりになれば、等価球面値もプラスより、マイナスよりになります。
乱視を大きくして等価球面するとき
変えたい乱視が0.75Dなら乱視を大きめの1.0Dにして計算したらプラスより、小さめの0.5Dにして計算したらマイナスよりのS面になります。
S面がプラスより、マイナスよりになれば、等価球面値もプラスより、マイナスよりになります。
これがイメージの完成図です。
どうして?
今から詳しく考えていきましょう。
等価球面のおさらい
まずは等価球面の復習です。
S-3.0D:C-2.25DAx90°の乱視をC-1.25Dに変えたいときのS面の度数は?
はじめの度数のイメージはこうです
乱視をC-1.25Dにしたいときは、ただC面だけを変えてS-3.0D:C-1.25DAx90°にしてはダメです。
等価球面値が違うので、同じ度数にはなりません。
乱視をC-2.25 DからC-1.25Dに変えたい場合は、等価球面を同じ度数にすることが大切です。
等価球面値を同じにするには、後ろのピントも前のピントも動かします。
どれくらい動かすかというと、動かしたい乱視の半分量です。
S-3.0D:C-2.25 DAx90°の乱視をC-1.25Dにしたいときは、乱視はC-2.25 DからC-1.25Dに変えたいので、動かしたい乱視の量は1.0Dです。
なので動かしたい乱視量1.0Dの半分量の0.5Dを、S面のS-3.0Dに加えます。
S面が動く方向は、乱視を少なくするので左(マイナス)方向です。
マイナス方向にS面が動くと、近視(マイナス度数)は増えて、遠視(プラス度数)は減ります。
基本的に、等価球面した度数の等価球面値(最小錯乱円の位置)は同じです。
詳しくはこちらの記事を見てくださいね。
乱視を増やして等価球面するイメージもおさらいします。
S-3.0D:C-0.75DAx90°の乱視をC-2.25Dに変えたい
度数のイメージはこうです。
乱視を大きくしたいので、前のピントと後ろのピントの位置が広がります。
後ろのピントは右に動くので、プラスに動きます。
動かしたい乱視量はC-0.75DからC-2.25Dなので、1.5D動かしたい。
後ろのピントは、動かしたい1.5Dの乱視の半分の度数の0.75Dが右(プラス方向)に動きます。
②乱視を大きくしたときは、S面はプラス側にうごく
③乱視を少なくしたときは、S面はマイナス方向にうごく。
割り切れないときのイメージ
でも、たまに、動かしたい乱視が半分に割り切れない場合があって困る…。
はい。そうです。
例えば、動かしたい乱視が1.25Dの場合。
1.25Dの半分って、0.625やん。そんなレンズないやん。。。
困りますね。
0.625Dとか0.125Dのレンズはないので
・ちょっとマイナスよりのレンズを採用する
2つに1つしか方法がありません。
今日は
これを考えます。
この、びみょーーーな位置関係がイメージできるようになればもう完璧。
実際に検眼レンズを触りながらの方がイメージしやすいかもしれません。
すぐに理解できなくてもいいよー。焦らずゆっくりと。こんな考えがあるんだーくらいに聞いてね。
乱視を増やして等価球面したいけど割り切れないとき
乱視を増やして等価球面する場合から考えます。
S-3.0D:C-1.5DAx90°の乱視をC-2.25Dにしたいとき。
S-3.0D:C-1.5DAx90°のイメージはこうです。
乱視を増やしたいので、乱視の幅は広がります。
後ろのピントは右に動く。
右に動く=プラス方向に動く(近視が減る)
どのくらい減るかというと、動かしたい乱視の半分の量。
動かしたい乱視はC-1.5DからC-2.25Dなので0.75D動かしたい。
0.75Dの半分は、0.375D。
でも、ないですよね。0.375Dのレンズ。
右部分だけを拡大して考えてみます。
レンズで0.375D動かすことができないので、その前後で1番近いレンズを使います。
この場合だとS面を-0.25Dか-0.5D動かすことになります。
0.25D動かすと後ろのピントはS-2.75Dになって、0.5D動かすと後ろのピントはS-2.5Dになります。
S-2.75DかS-2.5D、どっちかのレンズを選びます。
割り切れない乱視のときは、1番近い度数を選ぶイメージだよー
乱視を減らして等価球面したいけど割り切れないとき
乱視を減らしたときもイメージは同じです。
S-3.0D:C-2.25DAx90°をC-1.5Dにしたいとき。
S-3.0D:C-2.25DAx90°のイメージはこうです。
C-2.25DをC-1.5Dにしたいので、乱視の幅は狭くなります。
前のピントと後ろのピントが真ん中に近づく感じです。
乱視の幅が狭くなると、後ろのピントの位置は左に動きます。
左に動くと度数はマイナスに動くので、近視の度数は大きくなります。
後ろのピントは、動かしたい乱視の半分の量がマイナス方向に動く。
動かしたい乱視の量はC-2.25DからC-1.5Dなので、0.75D動かしたい。
0.75Dの半分は0.375D
でも、0.375Dというレンズはありません。
なので、0.375Dに1番近いレンズを採用することにします。
0.375Dに近いレンズは0.25Dか0.5Dです。
S-3.0Dにある後ろのピントを、左(マイナス方向)に0.25D動かせばS-3.25Dに、0.5D動かすとS-3.5Dになります。
等価球面の度数はマイナスかプラスどっちになる?
0.375D動かしたいのに、レンズがないので0.25Dか0.5D動かしました。
このとき等価球面は元の度数よりマイナスとプラス、どっちに動くのかを考えます。
S-3.0 D:C-1.5 DAx90°の乱視をC-2.25Dにして等価球面したいとき、乱視を0.75D変えたいけど半分に割れない。
だから完全に等価球面できない。
そんなときは、1番近いレンズを採用します。
この場合だと、S-2.75 DかS-2.5D
S-2.75DとS-2.5D、どっちのレンズを採用してもいいよーという訳ではありません。
S-2.75DとS-2.5Dは0.25D違う度数だからです。
S-2.75DとS-2.5D、それぞれ等価球面は元のS-3.0 D:C-1.5 DAx90°より、プラスかマイナスどっちになるでしょうか。
度数を細かく考えずに、まずは度数が動くイメージをしっかりできるようになるのを目標にしよう。
乱視は「棒」のイメージ
乱視は棒のイメージで考えます。
まっすぐな棒。
C-2.25Dの乱視なら、幅が2.25ある棒です。
1.5の幅の乱視を2.25の幅にしたい。
等価球面するには、真ん中を合わせて等価球面したいけど、できない。
なので、後ろのピントを左に動かしたレンズを採用した。
等価球面に1番近いマイナスよりのレンズを採用したってことですね。
2.25の乱視の棒の右の端が少し左に動くので、全体的に左に2.25の乱視の棒が動きます。
後ろのピントが少し左(マイナス方向)に動くと
等価球面値である、真ん中のピントも左(マイナス方向)に動きます。
これ、これー!このイメージしっかりねー
割り切れない乱視を等価球面するイメージのまとめ
乱視がありまーす
乱視の幅を広げたいでーす
後ろのピントの位置をうまく調整できなーい
じゃぁ、後ろのピントの位置を少し左に動かした度数をつかいまーす。全部のピントが左(マイナス)に動くねー。
もちろん、等価球面の度数もマイナスに動くよー
逆に後ろのピントを右に動かしたレンズを使うと、動かしたい乱視の幅は右に動くから…
等価球面の度数も右(プラス)に動きまーす
乱視がありまーす
幅を狭くしたいでーす
後ろのピントの位置があいませーん
少し左にピントを動かしてみます。ピントはマイナスに動きまーす
等価球面値もマイナスに動くねー
逆に後ろのピントを右に動かすと、ピントはプラスに動きまーす
イメージできてきたかなー?
乱視を置き換えて計算すると等価球面しやすい
ここまで、割り切れない乱視を等価球面するときに使えるピントの動きのイメージ、考えのイメージを書きました。
でも、実際の視力検査のときに、0.75の半分は~とか考えてられへん…
わかるよー。その気持ち。この方法は実践には不向きよねー
イメージがわかったところで、実践でどうすればいいかをお話します。
乱視を増やして等価球面する場合
S-3.0D:C-1.5 DAx90°をC-2.25Dにした場合、0.75Dを半分にできません。
なので、後ろのピントを0.5Dか0.25D動かします。
イメージですよ。
簡単に計算するためのイメージです。
0.25Dと0.5D動かした位置に考えるってことは、乱視の幅を0.75D増やすんじゃなくて、1.0Dか0.5D増やすと考えたら、計算しやすいです。
C-1.0Dの半分は0.5Dで、C-0.5Dの半分は0.25D。
乱視を増やして等価球面を少しマイナスにしたいときは、後ろのピントを0.25D動かして、少しプラスにしたいときは0.5D動かしました。
ということは…!
0.75Dの乱視を-0.5Dに入れ替えて考えると、後ろのピントはS-2.75Dになります。
0.75の乱視を-1.0Dに入れ替えて考えると、後ろのピントはS-2.5Dの位置になります。
この考えがあてはまります。
割り切れない度数を細かく計算しないための考え方です。
考えかたのポイントなので、もう1度書きます。
乱視は動かしたい度数が大きいほど、動く幅が大きくなります。
なので、乱視を増やして等価球面したい場合は、等価球面値をマイナスよりにしたければ、乱視の幅を少し狭く考えたらいいし、プラスよりにしたければ乱視の幅を広めに考えたらいいんです。
乱視を少なくして等価球面したい場合
次に乱視を少なくして等価球面したい場合を考えます。
S-3.0D:C- 2.25DAx90°をC-1.5Dにしたい場合。