等価球面を極めるシリーズでは、等価球面って何か?を知って、実際に使えるようになる練習をしています。
今日のハンフリーのお話で等価球面シリーズはおしまいです。
ハンフリーの等価球面の基礎はこちらの記事に書いてるので、チェックしてくださいね。
ハンフリーのとき、等価球面を自分で計算できるようになると楽しくなるよー
ハンフリーの自動計算がいつも完璧とは限らないよー
あれ?これ、自動計算した度数じゃなくて、〇〇になるんじゃない?
そんな疑問がでてきて、自分で等価球面を考えることができるようになると、検査を楽しんでできるようになるんじゃないかなーと思っています。
最近、少しづつだけど、等価球面が気になるようになってきた
いいねー!!
・・・でも、乱視の度数がC-1.25Dとか、割り切れないときはどうしたらいいのー?
また不安になるわー・・・
そんな疑問を考えます。
今回のテーマは、乱視が割り切れないとき、ハンフリーではどうやって等価球面したらいいの?です。
等価球面シリーズ①はこちら
自覚的屈折検査の基礎シリーズもおすすめです。
ハンフリーも割り切れないときは、プラスよりのレンズを採用する
結論からいうと、ハンフリーのときも割り切れない乱視の場合はプラスよりのレンズで等価球面します。
前回の自覚的屈折検査もプラスよりで等価球面しましたね。
ハンフリーもプラスよりで等価球面するので、割り切れない等価球面はプラスより!って覚えたらいいね
割り切れない乱視をプラスよりで等価球面する方法をまとめておきます。
ハンフリーの場合、乱視は減らして等価球面するので、方法は1つです。
どうしてプラスよりで考えるのかを考えていきましょう
乱視が割り切れないってどんなとき?
S-13.5D:C-1.25DAx90°を等価球面したい!
えーっと、今まで習った方法でしてみると、まずは乱視を半分にして・・・
ってことはC-1.25Dの半分だから…0.625D
で、次は0.625DをS面に足すのね。足すと、S面はマイナス方向に動くから
えーっと、S-13.5Dに0.625Dを足すと
えええーーー!!S-14.125D・・・・
こんなレンズないわ
こんなときです。
乱視はC-0.25Dから0.25D刻みで動かす度数を考えます。
動かしたい乱視の幅がC-0.25D、C-0.5D、C-0.75D、C-1.0D、C-1.25D、C-1.5D、C-1.75D、C-2.0D、C-2.25D・・・のときが割り切れない乱視になります。
ハンフリーは調節力がポイント
ハンフリーの等価球面には、調節力が関係します。
調節力はピントを近くに動かす力
調節力を使わない状態で5mが見えている場合に、近くを見るときに使うのが調節力です。
ピントがあう距離と調節力の関係を考えてみます。
1mでは1.0Dの調節力が必要で
50cmのものを見る時には2.0Dの調節力が必要
33.333…cmを見る時には3.0Dの調節力が必要
30cmのものを見るときには3.33…Dの調節力が必要
25cmを見るには4.0Dの調節力が必要
調節力の具体的な度数は、今は覚える必要はありません。
近くになればなるほど、調節力はたくさん必要になるイメージができればOK
付加度数と調節力の関係
調節力はピントを近くに動かす力です。
調節力は自分が持っている力なので
30cmで見たいわー
そう思えば、自分で3.33…Dの調節力を使って30cmのものを見て
1m先のテレビを見たいわ
そう思ったら、1Dの調節力を使ってテレビを見ます。
でも、人は歳を重ねると調節力がなくなってきます。
そこで、自分の調節力の代わりに老眼鏡(近くを見るための度数加えたメガネ)を使います。
近くと見るために必要な度数を付加度数といいます。
まったく調節力がない人の場合、遠くがよく見えている人が1mのものを見るときは付加度数1.0Dのメガネを使って、33cmくらいで本が見たいときは3.0Dの付加度数を加えたメガネを使います。
ハンフリーの付加度数を考える
これをハンフリーで考えます。
ハンフリーのドームまでの距離は30cmです。
30cmに必要な調節力は3.33…D
付加度数とピントの距離には決まっている計算式があります。
「m」で書くとわかりにくいので「cm」にするとこうなります。
ハンフリーの場合、見たい距離が30cmなので、距離に30cmを入れて計算します。
100/30になって、必要な度数は3.33…Dとなります。
計算式は余力がある人だけ覚えてね。30cmでは3.33…Dいるのね、という理解でもOKです。
ハンフリーのドームと必要な付加度数をイメージしてみます。
距離が近いほど、大きい度数の付加度数が必要になります。
30cmにピントを合わせたいとき、付加度数はadd+3.33‥Dになります。
でも3.33…Dのレンズはないですよね。
どうしましょう?
考えられるのは、3.33…Dに近い3.5Dか3.25D、どちらかを選ぶってことですね。
答えは、3.25Dを選びます。
60歳以上で調節力がないとされている年齢の人の、付加度数はadd+3.25D。
S+3.0Dの人ならS+6.25Dを入れてハンフリーを行います。
S-5.25D:C-1.0DAx90°ならS-5.25Dに+3.25D加えるイメージです。
S-2.0D:C-1.0DAx90°ですね。
S+1.25D:C-0.5DAx90°ならS+1.25Dに+3.25D加えるので、S+4.5D:C-0.5DAx90°です。
S-0.75D:C-2.0DAx90°ならS+2.5D:C-2.0DAx90°
ここからは、補足の話になるので、「計算苦手、とか、3.25Dって覚えてるから別にいい」という方は、次の項目までとばして読んでください。
・・・・・・・・・・・・・・・
どうして3.5Dはダメなのかについて少し書いておきます。
付加度数を3.5Dにすると、ドームの中にピントがきます。
さきほどの計算式にあてはめて計算してみると、付加度数は3.5Dのとき焦点距離は28.57cm。
1.43cm、ドームの手前にピントがくるイメージです。
付加度数が3.25Dの場合、焦点距離は30.7cmです。
0.7cmドームの後ろにピントがあうイメージです。
調節力は手前にしか働かないこと、偽調節、ドームと焦点距離の関係などから、3.25Dを選ぶほうがいいですね。
割り切れない乱視は、プラスよりで等価球面しましょう
調節力がない場合は付加度数は3.25Dだとわかったので、ようやく本題です。
割り切れない乱視はプラスよりとマイナスより、どっちで等価球面する?
ポイントは付加度数3.25Dのピントの位置です。
ドームにピントがピッタリあうのは付加度数3.33…Dなので
付加度数3.25Dはドームよりピントは少し後ろです。
等価球面でプラスよりにしたらドームにピントが近づくけど
マイナスよりに等価球面すると、ドームからピントが離れてしまいます
ピントはハンフリーのドームに近い方がいいので、プラスよりで等価球面します。
プラスよりに等価球面するイメージのおさらい
ハンフリーで割り切れない乱視はプラスよりで等価球面するということがわかったので、プラスよりに等価球面する手順をおさらいします。
詳しくは「等価球面したいけど、乱視が割り切れない・考え方-等価球面を極めるシリーズ⑧」を見てくださいね
ハンフリーの場合、乱視を増やして等価球面することはないので、乱視を減らして等価球面する方法だけをおさらいします。
自覚的屈折検査で矯正度数が決定したあとは、乱視は減らして等価球面してね。
乱視を増やして等価球面すると、見にくくなってしまうから気を付けてね。
割り切れない乱視を等価球面するとき、乱視を減らして等価球面するときのイメージです。
変えたい乱視の1つ少ない乱視と置き換えて計算すると、等価球面値はプラスになります。
実際の度数でイメージしてみよう
具体的な度数で詳しく考えます。
S-16.75D:C-1.25DAx90°の場合
付加度数をadd+3.0D入れるとS-13.5D:C-1.25DAx90°になります。
S-13.0D
S-0.5D
C-1.25D
レンズが3枚になるから等価球面したい
等価球面するとS-14.125D
プラスよりのレンズを選ぶので、C-1.25Dを1つ少ない乱視1.0Dと考えます。
1.0Dの半分は0.5D
S-13.5Dを0.5Dマイナスに動かして等価球面します。
答えはS-14.0D
念のため、付加度数を計算して確認しておきます。
もとの度数はS-16.75D:C-1.25DAx90°
等価球面するとC-1.25Dの半分0.625DをS-16.75Dにたすので、S-17.375D
このS-17.375 Dに付加度数3.25Dを入れると
付加度数はS面をプラスに動かすので、S-14.125D
S-14.0Dと0.125D差になります。
付加度数は、3.25D+0.125D=3.375Dになり、ドームにピントが合う付加度数は3.33…Dなのでほぼ同じ度数になります。
最後に、練習問題でイメージを固める
最後に実践問題で、イメージを固めましょう。
1.75Dの乱視は割り切れないので、1つ小さい1.5Dに置き換えて考えます。
1.5Dの半分は0.75D
S-14.5Dに0.75Dを加えるのでS-15.25D
答えは、S-15.25D
プラスよりで等価球面したいので、0.75Dより1つ小さい乱視に置き換えて考えます。
0.75Dの1つ小さい乱視は0.5D
0.5Dの乱視の半分は0.25D
答えはS+12.25D
1.25Dの乱視をプラスよりに等価球面するので、乱視を1つ小さい乱視に置き換えて計算します。
1.0Dの半分は0.5D
S+12.75Dを0.5Dマイナスに動かします。
答えはS+12.25D
乱視を減らして考えるときはS面はマイナスに動きます。
C-2.25Dを等価球面しようとすると、1つ少ない乱視で等価球面するので、2.0Dと考えます。
2.0Dの半分は1.0D
なので、C面を抜いて等価球面するとS-11.5Dになる…のですが
この場合S-11.0Dがあります。
S-11.0 Dで等価球面する場合も考えてみます。
S-10.5DとS-11.0Dの差は0.5D
S面が0.5D動くとC面は1.0D動きます。
S-10.5D:C-2.25DAx90°はS-11.0D:C-1.25DAx90°で等価球面することができます。
- S-11.5D
- S-11.0D:C-1.25DAx90°
どっちの度数で等価球面するほうがいいでしょうか。
乱視を考えると、S-11.0D:C-1.25DAx90°かなと思います。
答えはS-11.0D:C-1.25DAx90°
S-7.75Dに1番近いマイナスよりのS面レンズはS-8.0Dです。
これの場合も、乱視を調整して等価球面できそうな気がしますね。
S-7.75DをS-8.0Dにするためには、乱視を0.5D少なくする必要があります。
答えはS-8.0D:C-0.75DAx90°
イメージ、何個かできましたかー?
付加度数の目安(補足)
ハンフリーは、年齢と付加度数が関係するので、最後に付加度数の目安をのせておきます
厳密にいうと、調節力は人によって変わるものなので、近見視力を測って付加度数を調べる必要がありますが、ハンフリーのときは標準的な調節力を目安に付加度数を入れるのが一般的です。
まとめ
今回で等価球面シリーズはおしまいです。
等価球面する方法知っているけど、実際の検査でどうやって使うのかわからない
計算はものすごく苦手…
そんな人のレベルアップのために、等価球面を実際に使う方法についてイメージを使って説明しました。
ちょっとわかってきたー!
そう感じたら、ぜひ、外来で等価球面に挑戦してくださいね。
等価球面をしている途中で、頭が混乱してパニックになってしまったら
ハンフリーは自動計算を使いましょう
自覚的屈折検査なら、レフ値の乱視を入れましょう
自動計算やレフ値を使いながら、自分で計算する習慣を意識していけば上達につながると思っています。
割り切れない等価球面の総まとめ
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