自覚的屈折検査①~⑤で書いてきたイメージを1度まとめます
まだ読んでいない人は、この記事を読んでから①~⑤を読んでくださいね。

具体的なことは①~⑤に詳しく書いています。
近視・遠視・乱視のピントの位置
遠視も近視も乱視もない、正視の状態は、網膜にピントがある状態のことです。
網膜にピントがあれば、老眼がない人は、遠くも近くもハッキリ見えます。
近視のピントの位置
近視は近くを見るときにピントがあっている状態。
遠くを見るときはぼやけていて、近くを見る時にピントがあって見やすい状態です。
目のピントの位置は網膜より手前です。
近視の度数は‐0.25Dからだんだんと度数が強くなります。
視力検査の結果に、S-0.25Dのように「S」のあとに「-(マイナス)」が書かれていれば

近視があるよー
という意味です。
S-0.5DとS-3.0DではS-3.0Dの方が近視の度数は強く、S-3.0DはS-0.5Dよりも網膜から離れた位置にピントがあります。

S-10.0D、S-16.0Dはかなり強い近視だよー
ということです
なので、上の図で考えると
S-1.0Dの方がS-7.0Dより網膜にピントの位置が近いので、S-1.0DのほうがS-7.0Dよりよくみえています。
網膜にピントがのっている状態の視力を1.5か2.0とすると、S-1.0Dは少し網膜からピントがはなれているので、視力は0.4~0.6くらいのイメージです。
S-7.0Dはもっとピントが位置が網膜より離れているので、0.1が見えないイメージ。
網膜のなかにピントがある近視のばあいは、近くを見るときにピントがあうというメリットがあります
遠視のピントの位置
遠視は、近視のピントの位置とは逆で、ピントの位置が網膜よりうしろ(右)にあります
近視は網膜のなかにピントがあるので、近くを見るときにピントがあうというメリットがありましたが、遠視の場合は網膜の後ろにピントがあるので、遠くも近くも見にくい状態です。
調節力といって、ピント合わせの力をもっている人は、網膜のうしろにあるピントを調節力を使って網膜に自分でのせることができます
少しの遠視なら、調節力でカバーして遠くも近くもよく見えます。
調節力でカバーできなくなったら、ピントの位置は網膜の後ろのままで、網膜にものらないし網膜より手前にも動かすことができないので、遠くも近くも見にくくなります。
少し話がそれますが
こどもの遠視の弱視は、遠視の量が多くて、調節のコントロールもまだ未熟な小さな子どもが自分で網膜にピントをのせることができないまま成長している状態です。
遠視の弱視は、網膜にピントがのっていないことが原因なので、メガネを使って網膜にピントをのせることが治療の第1歩です。
乱視のピントの位置
乱視は遠視と近視にプラスしてピントの位置がもう1つある状態です
「遠視か近視」と「乱視」がセットです。
度数のイメージはこう
ピントの位置が2つあってズレているので、ピンボケ状態になります。
近視と乱視が一緒になれば「近視性乱視」、遠視と乱視が一緒になれば「遠視性乱視」、1つのピントの位置は近視で、もう1つのピントの位置が遠視の場合は「混合乱視」といいます。
近視の乱視のピントのイメージ
遠視の乱視のピントイメージ
1つのピントは近視で1つのピントは遠視の乱視の場合
前のピントと後ろのピントの中間を最小錯乱円といいます
乱視は前のピントと後ろのピントの間にある最小錯乱円で見ています。
検眼レンズの役割
近視・遠視・乱視のピントを網膜にのせて、ハッキリ見えるようにするのが検眼レンズの役割です。
眼科にある、たくさんのレンズを使って目の度数を調べます。
検眼レンズはおおきく分けて2つあります
・乱視のピントの位置を動かすことができるC面レンズ
S面レンズ、C面レンズ、どちらにも「プラスレンズ」と「マイナスレンズ」があります。
ここではよく使う3種類で説明していきます
①S面のマイナスレンズ
②S面のプラスレンズ
③C面のマイナスレンズ
それぞれの役割を紹介します
S面プラスレンズ→ピントの位置を手前(左)にうごかすことができる。遠視の矯正に使う。
S面マイナスレンズ→ピントの位置を後ろ(右)に動かすことができる。主に近視の矯正に使う
C面のマイナスレンズ→乱視の矯正に使う。マイナスのC面レンズは手前(左)のピントだけを後ろ(右)に動かすことができる便利なレンズ。
近視の自覚的屈折検査のピントイメージ
近視のピントの位置を網膜にのせる方法です。
自覚的屈折検査では、網膜のなかにあるピントをS面のマイナスレンズを使って網膜に動かします。
S-3.0Dの近視なら、S-1.0D、S-1.5D、S-2.0D・・・と少しづつ近視の度数を増やして、ピントを網膜にのせます。ピントが動くイメージは網膜の手前(左)から後ろ(右)です。
遠視の自覚的屈折検査のピントの動き
遠視は網膜の後ろにピントがあります。網膜の後ろにピントがあると、調節力がある人は

調節力つかって、網膜ピントのせるでー!
となってしまうので、まず、調節力が働かないようにピントを網膜の中まで一気に動かします。
S+2.0Dの場合、S+2.0Dより大きい遠視の検眼レンズの視を入れます。
そのあと、少しづつ遠視の度数を少なくして網膜にピントを近づけます。
乱視のピントが自覚的屈折検査で動くイメージ
乱視の場合、遠視があるときは、まず後ろのピントを網膜の中にいれます。
ピントが2つとも近視のときはそのままです。
まずは、2つのピントが網膜の中に入っている状態にします。
次に最小錯乱円を網膜にのせます。ピントを後ろ(右)に動かす
後ろのピントを網膜にのせます。ピントを手前(左)に動かす
乱視のレンズ(C面のマイナスレンズ)を使って、前のピントと後ろのピントを1つにします。
最後に、ピントがほんとうに網膜にのっているかどうか確かめます。ピントをもう1度手前(左)に動かして
網膜にのせる
ピントの動きはこのイメージです。
もう少し詳しく知りたい人は、具体的な度数もつけて解説している記事をみてくださいね

ほんとうは少しだけ網膜の手前にピントがある
自覚的屈折検査のあとのピントの位置は、網膜にのっているイメージです
でも、実際は人間なので、絶対に網膜にピッタリとのせることはできません。
なので、自覚的屈折検査の最終的なピントの位置は、網膜よりほんのちょっと手前になっています。
ほんの少しだけ、手前のイメージです。
ほんのちょっと後ろか前で、イメージが違います。
患者さんが

ハッキリ見える!
というときは、ピントがほんのちょっと網膜より後ろのときがある。
でも私たちが測りたいのは、ほんのちょっと手前にピントがある状態。
詳しくは、シリーズ5を見てくださいね

まとめ
自覚的屈折検査の基礎はいったんおしまいです。
今日のポイント

この方法なら、なんか乱視表で視力検査する気がでてきたかもっ!
そう思ったら、続けて読んでくださいね。
つぎは自覚的屈折検査をするときやメガネ合わせ、視野検査のときなど常に考えている等価球面についての話をします。

等価球面って、数字の計算。なので、計算苦手な人は拒否反応が出てしまう。でも、実はめちゃくちゃ使います。この機会にぜひ等価球面をマスターしましょう!

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