乱視矯正の基本イメージ-自覚的屈折検査の基礎⑤

自覚的屈折検査の基礎
スポンサーリンク

自覚的屈折検査の基礎シリーズ第5弾!

近視のピントの位置は網膜の手前。遠視は網膜の後ろで、乱視はピントが2つあって、2つのピントを1つにするためにマイナスの乱視のレンズを使うんでしょ?

この考えが視力検査のときに、少しづつ浮かんできてきてたら

めちゃくちゃ上達してるー!

そう思います。

時間がある人は自覚的屈折検査の基礎シリーズ①からぜひ読んでくださいね

近視・遠視・乱視とピントの位置ー自覚的屈折検査の基礎①-
眼科で視力検査をしているけど自覚的屈折検査の意味がよくわからないという超超初心者さんむけ。近視・遠視・乱視と目のピントの位置を解説しています。自覚的屈折検査は目のピントの位置を意識して測ることが大切。まずは近視・遠視・乱視のピントの位置を理...
スポンサーリンク

プラスレンズとマイナスレンズの動きのイメージを固める

ピントの動きと、度数の関係について、イメージをもう少し深めます

プラスレンズはピントを前に動かすことができて、マイナスレンズはピントを後ろに動かすことができます

はい。

ということは3.0Dの近視の人には、ピントを後ろに動かすことができるS面の―3.0Dのレンズを入れると、ピントは網膜にのります

同じように遠視が+3.0Dある人には、手前にピントを動かすことができるS+3.0Dのレンズを入れてピントを網膜にのせます。

では、次です。

S-3.0Dの人にS-2.5Dを入れたらピントの位置は?

網膜より少し手前になります。

逆にS-3.0Dの人に、S-3.0Dより強い近視度数のS-3.5Dを入れると、ピントの位置は網膜の後ろになります。

近視の場合、弱い度数を入れたらピントは動かしたいピントの位置より左に動いて、度数が強いとピントの位置はイメージしている場所より右になる

遠視の場合はどうなるか、考えてみます

S+3.0Dの人にS+3.5Dを入れたら

網膜より手前にピントがきます。

S+3.0DにS+2.5Dを入れたら

ピントは網膜の後ろになります

このイメージです。

遠視は強い度数を入れたらピントは左に動いて、動かしたいピントより度数が弱いとピントの位置はイメージしている場所より右になる
書いてみると、難しい言葉になってしまいました。
想像している遠視の度数より大きい遠視度数を入れたら、ピントは左に動く。イメージの遠視度数より少ない遠視度数なら、ピントの位置はイメージしている位置より右にあるということです。
伝わるかな・・・。
このイメージが、乱視を測るときの大事なイメージになります。

自分は目の度数を何Dだと思っているから、〇Dを入れたら、ピントは網膜の前(後ろ)にある、というイメージができるかどうかがポイント

スポンサーリンク

乱視の自覚的屈折検査のイメージ練習

今、お話したピントのイメージもいっしょに、前回の乱視のピントが動くイメージの答え合わせをしますね。

自覚的屈折検査の基礎シリーズ④の続きです。

ピントが動くイメージをしっかり固める!-自覚的屈折検査の基礎④
自覚的屈折検査をするとき、近視・遠視・乱視のピントが動くイメージをしっかり想像できるようになりたい人必見。ピントの動きをイメージ化で解説。超初心者さんむけ。自覚的屈折検査の基礎シリーズpart4。

S+2.0D:C-1.0D Ax90°

目の度数イメージはこうです

まず、後ろのピントを網膜のなかに入れる。ピントは左に動かしたいので、イメージするS+2.0Dより強い度数の遠視レンズを入れる。(S+2.5Dくらい)

つぎは最小錯乱円を探します。

最小錯乱円を探すには、ピントを右に動かして、前のピントと後ろのピントの真ん中を探さないとダメです。

ピントを右に動かすために、プラスの度数を弱めます。最小錯乱円の位置はS+1.5Dの位置。

次に、後ろのピントを網膜にのせる。

後ろのピントを網膜にのせるには、ピントを左に動かします。

左に動かすということは、遠視度数を強くします。

どのくらい遠視の度数を強くするかというと、乱視の半分の量です。

乱視は1.0Dなので、乱視の半分の0.5D遠視の度数を強くします。→S+2.0D

乱視のレンズを使って前のピントを後ろのピントにくっつけます。C-0.5D、C-0.75D、C-1.0D、と入れます

S+2.0DC-1.0D Ax90°を入れたらピントが1つになった!

ピントがほんとうに網膜にのっている状態か、確認します。

少しピントを網膜のなかにいれて(S+2.5DC-1.0D Ax90°)

もう1度網膜にのせる(S+2.0DC-1.0D Ax90°)

おしまい

S+0.5D:C-1.0D Ax90°

目の度数イメージ

後ろのピントを網膜のなかに入れる。

遠視の度数を強くして、ピントを左に動かす(S+1.0Dくらい)

次に最小錯乱円を探すために、ピントを右に動かします。

ピントを右に動かすので、プラスの度数を弱くする。(S-0.0D)

乱視の半分の量(0.5D)だけ、ピントを左に動かして、後ろのピントを網膜にのせます。

ピントを左に動かしたいので遠視の量を強くします。→S+0.5D

乱視のレンズを使って前のピントを後ろのピントにくっつける。

S+0.5DC-1.0D Ax90°ピントが1つになった!

ピントが網膜にのっている状態か、確認。

少しピントを網膜のなかにいれて(S+1.0DC-1.0D Ax90°)

もう1度網膜にのせる(S+0.5DC-1.0D Ax90°)

おしまい

S-3.0D:C-1.0D Ax90°

目の度数イメージ

近視なので後ろのピントは、はじめから網膜のなかに入っています。

S面のマイナスレンズを入れると、ピントは右に動きます。

少しづつ強いS面のマイナスレンズを入れて、最小錯乱円を探します。

最小錯乱円は前のピントと後ろのピントの中間です。(S-3.5D)

次に、後ろのピントを網膜にのせます。

乱視の半分の量(0.5D)、ピントを左に動かします。

近視なので、S面のマイナス度数を弱くするとピントは左に動きます。(S-3.0D)

乱視のレンズ(C-1.0 D)を使って、前のピントを後ろのピントにくっつける

S3.0DC-1.0D Ax90°ピントが1つになった!

最後に、ピントが網膜にのっている状態か確認します。

少しピントを網膜のなかにいれるためにピントを左に動かします。

ピントを左に動かすので、S面マイナス度数を弱めます。(S-2.5DC-1.0D Ax90°)

もう1度ピントを網膜にのせます。

ピントを右に動かしたいので、S面マイナス度数を強くします。(S-3.0DC-1.0D Ax90°)

おしまい

S-1.0 D:C-3.0D Ax90°

目の度数イメージ

後ろのピントは網膜のなかにはいっているので、最小錯乱円を探します。

最小錯乱円は前のピントと後ろのピントの中間。近視なのでS面マイナスレンズの度数を強くしてピントを右に動かします。(S-2.5D)

乱視の量は3.0D。半分の量の1.5Dを加えて、ピントの位置を左に動かして網膜にピントをのせます。(S-1.0D)

マイナスの乱視のレンズで前のピントと後ろのピントを1つにします(S-1.0DC-3.0D Ax90°)

次にピントが網膜にのっている状態か、確認。

少しピントを左に動かして(S-0.5DC-3.0D Ax90°)

もう1度右に動かす

網膜にピントがのります(S-1.0DC-3.0D Ax90°)

おしまい

ここまでが自覚的屈折検査の基礎です。

今から少し、自覚的屈折検査のイメージにもう少し踏み込んだ話をします。

いや、もうここまでで、精いっぱいやん。これ以上はちょっとムリやわ

わかります。

そう。ここまでピントの動きが分かるようになれば十分

次の項目は補足情報と思って、必要な場合に読んでくださいね。

スポンサーリンク

実際は、ピントは少し網膜の手前にあるという豆知識

今まで、自覚的屈折検査はピントを網膜にのせること、と何回も言いました

でも

じつは

外来で視力検査をしているときは

自覚的屈折検査のピントの位置は

網膜の少し手前

なのです

・・・ですよね。はい。びっくりしますよね。

こまかいイメージの話ですが

今までピントが網膜にのるイメージを

こうイメージしていたと思います。

でも自覚的屈折検査で使う検眼レンズは0.25刻み。矯正視力は(1.2)までしか測らないことが多いです。

網膜にピントがのっていて、1番よく見えるレンズを探したいのなら(2.0)まで測るべきですね。

そもそも、患者さんが1番よく見えるというレンズと、私たちが測りたい自覚的屈折検査の矯正度数としてのレンズは同じなのか?という疑問がでてきます。

外来で自覚的屈折検査をするときの感覚は

(2.0)まで測らないし、(1.0)以上見えていれば正常やん

そんな感覚

ということは、実際は網膜のどの辺にピントがきて、自覚的屈折検査を終了してる…?

網膜より少し手前?

網膜より少し後ろ?

ほんとうに、網膜にのっている?

自覚的屈折検査のイメージは調節力が働かない網膜より手前の位置で、ギリギリ網膜に近い位置にピントがくるレンズを探すこと

理由は二つあります

  • 検眼レンズは0.25刻みだけど、人の目の度数は0.25刻みではない
  • 患者さんがクッキリ見える見え方=視力ではない
①検眼レンズは0.25刻みだけど、人の目の度数は0.25刻みではない

たとえば

S-1.62Dの人がいます

この人の自覚的屈折検査をするとき、はじめのピントの位置はこう

網膜より手前にピントがあるので、マイナスのS面の検眼レンズを使ってピントを後ろに動かします。

S-1.0Dと入れてちょっと網膜に近づく

S-1.5Dを入れるとピントの位置は網膜にめちゃくちゃ近づく。

このくらい網膜に近づいていれば視力は(1.2)見えます。

つぎ、S-1.75D入れると・・・

あー!!ちょっと網膜を通り過ぎてしまったー。

はい。ここで問題です

S-1.5DとS-1.75D、どちらの度数を採用しますか?

視力的屈折検査の原則は5つの視標のうち3つ見えれば正解です

言いかえれば、5つ完璧に見えなくてもOKなんです

視力検査の原則
・5つの視標のうち3つ見えれば正解とする
・最高視力がでた、1番プラスよりのレンズを採用する

なんとなく見えても5つのうち、3つ正解したら視力になります

この場合、S-1.5Dを入れたこのピントの位置で視力はどのくらい見えているかイメージすると

そう、たぶん、(1.2)見えています。

S-1.75Dを入れても(1.2)は見えます。ほんのちょっと、網膜の後ろにピントがきただけなので、わりとはっきり(1.2)見えているイメージです。

なので、採用するレンズは(1.2)見えた、1番プラスよりのレンズなのでS-1.5Dです

ピントは網膜よりほんのちょっと手前になります。

視力検査の原則、「最高視力がでた、1番プラスよりのレンズを採用する」は、次の話にもつながります。

患者さんがクッキリ見える見え方=視力ではない

これがわりと重要です

患者さんがハッキリ見えるというのは

5つの視標のうち5つともハッキリ見えてないどだめでしょ?

というイメージ。

5つの視標が全部見えるらいハッキリ見えるには、ぶっちゃけて言うと、網膜の少し後ろの方がクリアにハッキリ鮮明に見えます

ピントのイメージはこの位置

網膜の近くをすごく拡大してみた、視力のイメージとピントの位置はこうです

患者さんがクッキリ見えるという位置と、自覚的屈折検査で測りたい位置が少しだけズレていることを知っておく

なので、私たちが普段測っている視力検査で、(1.2)が見えるピントの位置は奇跡的に網膜にピッタリのっているときもあるけど、だいたいの場合、網膜よりほんの少し手前にあるとイメージするといいです。

このイメージは普段、自覚的屈折検査をするときや、メガネ処方のときなど役にたちます。

どこかで、ピントは網膜の少し手前って聞いたことあるなぁー

このくらいの記憶で大丈夫。

自覚的屈折検査が終わったときピントは網膜よりほんの少し手前。

このイメージです。

まとめ

今日のポイント

・マイナスレンズ、プラスレンズの動きのイメージが固まった
・乱視矯正のピントの動きイメージがなんとなくできた(右にうごく…、左に動く…)
・実際は、ピントの位置は網膜より少し手前という豆知識
次回の予定
・自覚的屈折検査のとき、ピントが動くイメージをまとめます

教科書とは少し違う、もっともーーーーっとシンプルにした説明ですが

ちょっと楽しくなってきた

そう思ったら続けて読んでくださいね。

次回は自覚的屈折検査のまとめをします。

そのあと、新コーナー「等価球面値を理解する!」を予定をしています。

followお願いします!

コメント

タイトルとURLをコピーしました