自覚的屈折検査の基礎シリーズ、第3弾
今回のテーマは自覚的屈折検査で、近視・遠視・乱視の矯正はピントの位置がどう動くかイメージしてみようです。
この記事は超初心者さん向けに自覚的屈折検査をするときに知っておいた方がいい基礎知識について書いています。

質問です。この図の意味はわかりますか?

えーっと、強主経線は180°方向で、度数が強いから前焦線になって、焦線は90°方向にできるって意味よね
そこまでわかっている人は、この記事より参考書や専門のサイトを見て、視力検査の方法を勉強することをおススメします。

これを理解しないと視力検査できないのーーー??・・・そんなん、ムリ。頭パンクするー!!
そう思った人。

はい!一緒に考えましょう!
自覚的屈折検査の基礎シリーズ①をまだ読んでいない人は、ぜひ①から読んでくださいね。

前回のおさらい(近視・遠視・乱視のイメージ)
自覚的屈折検査の基礎②のおさらい
・最小錯乱円のピントの位置のイメージ
近視・遠視・乱視のピントの位置
- 近視・・・ピントの位置は網膜より手前
- 遠視・・・ピントの位置は網膜の後ろ
- 乱視・・・ピントの位置は2つある
最小錯乱円のピントの位置のイメージ
最小錯乱円は乱視と関係しています。
最小錯乱円の位置は、前のピントと後ろのピントの真ん中です。

検眼レンズの種類
自覚的屈折検査をするときに使う検眼レンズは、おきく分けると2種類あります。
- S面(球面)レンズ
- C面(円柱)レンズ
レンズにはプラスとマイナスがあります。
マイナスのレンズはピントを後ろに動かすことができて、プラスのレンズはピントの位置を前に動かすことができます。
近視のレンズは真ん中が薄くて外側が厚い
近視の自覚的屈折検査に使うS面のレンズは、真ん中が薄くて、外にいくほど厚くなります。
近視が強いとメガネのレンズが分厚くなるのは、近視のレンズの形が真ん中が薄くて外側にいくほど厚くなるからです。近視のレンズは見るものが小さく見えます。
遠視のレンズは真ん中が分厚くて外側が薄い
反対に遠視のレンズはS面のプラスレンズ。虫メガネのイメージです。
真ん中が1番分厚くて、周りにいくと厚さは薄くなります。遠視のレンズを通して見ると、見るものが大きく見えます。
乱視のレンズは検眼レンズに印があるレンズ
乱視のレンズは、検眼レンズの真ん中あたりに入っているレンズです。検眼レンズに印がついているレンズ。
黄色の矢印あたりに入っているレンズでこんな印がついています。
乱視のレンズは、あたりまえですが、乱視を測るときに使います。
乱視はピントの位置が2つあります。マイナスの乱視のレンズは、前のピントの位置だけを後ろに動かすことができる、便利なレンズです。
自覚的屈折検査、近視矯正のピントのイメージ
ここからが本題です。
近視を自覚的屈折検査をするとき、ピントの動きをイメージします。
例えばS-3.0Dの場合
ピント位置のイメージはこうです。
近視の場合、自覚的屈折検査をするときは、ピントを後ろに動かすマイナスの球面レンズを使います。
S-1.0Dを入れると
少しピントの位置が後ろに動いて網膜に近づきます。
でもまだ網膜にはのっていません。
次にS-2.0Dを入れる
まだのらない
S-2.5D
わりと近づいた
網膜に近づいてくると、見え方も少しづつハッキリと見えてきます。
S-2.75D
もうちょっと!すごく網膜に近いので(0.9)くらい見えているイメージです。
S-3.0D
網膜にのりました。
自覚的屈折検査とピントの位置のイメージはこんな感じです。
遠視の自覚的屈折検査のピントイメージ
近視の場合はマイナスのS面レンズを少ない度数から入れていけばいいのですが、遠視は、いったんピントの位置を網膜の中に入れる必要があります。
遠視は調節力が関係するからです。
調節力の働く方向のイメージは左です。右には働きません。
調節力はやっかいなことに、網膜にピントが近くなるとヒョイッと網膜にピントをのせてしまいます。
ここが大きなおおきなポイントです。
例えば、S+3.0Dの人に、S+1.5Dを入れた場合
ピントが動くイメージはこうなります。
でも・・・患者さんが調節力を使うと
ポイッとピントを網膜にのせてしまうんです。網膜にピントがのるので、視力は(1.2)見えます。

え・・・?S+1.5Dのレンズで(1.2)見えたから、この人の度数はS+1.5D・・・???
そう思ってしまいますね。
でも実際には、この人の目の度数はS+3.0Dあります。
S+1.5Dではありません。

・・・ね。おかしいでしょ。
S+3.0Dなのに少ない遠視の度数から入れて自覚的屈折検査をしてしまうと、遠視の量をぜんぶ引き出すことができなくなってしまいます。

網膜の中にピントが入ってしまえば、調節力とはさようならです
方法はS+3.0Dの場合、S+4.0Dを入れます。
すると、ピントの位置は一気に網膜の中に入ります。
網膜の中にピントが入ってしまえば、調節力を使ってピントを網膜にのせることはできません。
この状態から、ピントを網膜にのせていきます。
少しづつ遠視の度数を少なくしていくのです。
S+3.5Dにして・・・
S+3.25Dにして、S+3.0Dにします。
このイメージをピントの動きだけに注目して考えます。
目の度数S+3.0D
S+4.0Dを入れる
S+3.5D入れる
S+3.0D入れる
遠視の自覚的屈折検査のピントのイメージはこんな感じです。
乱視は最小錯乱円がポイント
つぎは乱視です。
人形町眼科クリニック
最小錯乱円の位置は後ろのピントから、乱視の半量、手前に動いた位置です。
S+3.0D:C-2.0DAx90°
最小錯乱円は後ろのピント(S+3.0D)に乱視の半量(1.0D)手前に動いた位置
なので、最小錯乱円はS+2.0Dの位置
S+1.0S:C-1.0DAx90°
最小錯乱円はS+1.0Dに乱視の半分の量0.5D手前に動いた場所
なので、S+0.5D
乱視は最小錯乱円で見ています。
自覚的屈折検査をするときは、最小錯乱円の位置を探してから、乱視の量を想像して測ります。
乱視の自覚的屈折検査のピントのイメージ
一気に乱視の自覚的屈折検査の方法まで考えてしまうと頭がパニックになるので、まずは、乱視はピントの位置をどう動かして測るのかをイメージします。
手順です
2.最小錯乱円の位置を調べる
3.後ろのピントを網膜にのせる(雲霧)
4.乱視のレンズで前のピントと後ろのピントを1つにする



S面のレンズだけで1番視力が出る場所が最小錯乱円の場所です。









- 網膜にピントを全部入れる
- 最小錯乱円の位置を探す
- 後ろのピントを網膜にのせる
- 乱視のレンズ(C面レンズ)でピントを1つにして網膜にのせる
遠視の乱視の場合、このイメージです
近視の場合は、初めから後ろのピントが網膜のなかに入っているので、最小錯乱円を探すとことからはじめます。
実践してみるとわかってきます

この場合は、後ろのピントが網膜にのってるパターンかな

今のパターンは、後ろのピントが網膜の手前にあったパターンね
経験すると、感覚がつかめてきます。
はじめはイメージどおりにいかずに

意味がわからん。イメージと違う・・・
そう落ち込むことも多いです。
でも、イメージを繰り返すと、確実にイメージの的中率はあがります。
イメージと実践を繰り返すことが大切です。
まとめ
今日のポイント
・近視矯正、遠視矯正のイメージができる
・乱視の自覚的屈折検査のピントの動きが少しイメージできた

これ、ええやん。ちょっとだけ、乱視のイメージがわいてきたわ
そう思ったら、次回もまた読んでくださいね。
次回も、遠視と乱視を中心にピントの動きのイメージ化を追加情報と一緒にお伝えする予定です。
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