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眼科で働くことになったから、参考書を読んだけど、難しくてわからない・・・

これを覚えないと視力検査ができないんじゃ、わたしにはムリ…
そんな方向けに、教科書とすこし方法は違うけど、できるだけわかりやすく目の検査のことを説明していこうと思っています。
専門の参考書が理解できるレベルの人は、参考書やテキストを活用して検査をすることをおススメします。
時間がある人は、ぜひ等価球面を極めるシリーズ①から読んでくださいね

自覚的屈折検査の基礎シリーズもおすすめです。

最小錯乱円を意識して乱視を等価球面する方法のおさらい
前回は乱視を乱視度数を変えて等価球面するとき、1度最小錯乱円を考えてから等価球面する方法を紹介しました。








等価球面は乱視を少なくするのが基本

等価球面はわかってきたんだけど、等価球面するときって、乱視を少なくしたらいいの?それとも増やしてもいいの?
等価球面がS面で矯正したときに同じ度数になるレンズだとわかってきたら、乱視を少なくして等価球面したらいいのか、乱視を大きくして等価球面したらいいのか、なんとなく疑問が出てくると思います。
たとえば

S-2.0Dの目の人に、最小錯乱円の場所が同じだからといって、S-1.0D:C-2.0DAX90°を入れたら、見え方はどうなると思う?

そりゃ、乱視がない人に乱視のレンズを入れたら見にくくなるでしょ。
そうです。
乱視がない人に、等価球面で同じ度数になる乱視のレンズを入れたら、見にくくなります。
- S-1.0D:C-2.0 DAx90°の人にS-2.0Dを入れて等価球面しても大丈夫
- S-2.0Dの人にS-1.0D:C-2.0 DAx90°を入れて等価球面しようとするのはダメ

眼鏡処方のときは乱視度数を減らして調整する!というイメージがしやすいと思います。
眼鏡処方のときに乱視を調整するときは

乱視が大きいから、乱視を減らして処方したい!
そんな気持ちのときに等価球面を使うから、乱視度数は減らすイメージでしっくりきます。
でも、視野検査になると

乱視を増やして等価球面したらダメ?
そう思ってしまう場合があります。
私の病院の検眼レンズが、プラスもマイナスも6.0Dまでは0.25ステップだけど、6.0Dから0.5Dステップになって、9.0Dより大きい度数は1.0D刻みになっていることが原因だと思います。
この話は、後日に説明する予定です。
まずは乱視の幅を狭くして等価球面することが基本で、その方法をしっかりイメージできるようになることを目標にします。

がんばろー!
1回で等価球面する方法を使って、実際の度数で考える
1度最小錯乱円を考えてから等価球面する方法はわかったので、次に、1回で等価球面する方法を考えます。


実際の度数でイメージする
乱視度数を調整して、等価球面するイメージがわいてきたら、実際の度数でピントがどう動くのか考えてみましょう。
S-1.0D:C-2.0DAx90°のイメージ
最小錯乱円の場所はそのままで、乱視の度数をC-2.0DからC-1.0Dにしたいときは、後ろのピントと前のピントを最小錯乱円に近づけます。

ピントの位置はどれくらい動かすといいでしょう?
C-2.0DをC-1.0Dにしたいので、乱視の差は1.0D。
前のピントと後ろのピントを同じ度数、最小錯乱円に近づけるから・・・。
そうです。
0.5Dづつ最小錯乱円に近づけます。
前のピントを0.5D、後ろのピントを0.5D最小錯乱円に近づけると、2.0Dあった乱視の幅は1.0Dになります。
C-1.0 Dにしたときのピント位置のイメージ度数はこれです。
S-1.0D:C-2.0 DAx90°をC-1.0Dで等価球面すると、S-1.5D:C-1.0DAX90°
おしまい。

もう1度おさらいしますー
S-1.0D:C-2.0Dのイメージはこうです。
乱視をC-1.0 Dにしたいので、水色部分の乱視の幅を少なくしたい。
どれくらい少なくするかというと、はじめの乱視度数(C-2.0D)と変えたい乱視度数(C-1.0D)の差の1.0D水色の幅を狭くしたい。
なので、1.0Dの半分の度数の0.5Dを、それぞれ前のピントと後ろのピントから動かして最小錯乱円に近づけます。
すると、ピントがこうなる。
ここで、計算があっているか確認します。
確認方法は・・・そう、S面での等価球面を考えます。
- S-1.0D:C-2.0DAx90°のS面の等価球面はS-2.0D
- S-1.5D:C-1.0DAx90°のS面の等価球面はS-2.0D
S面で等価球面したら同じ度数になるので
S-1.0D:C-2.0DAx90°は
S-1.5D:C-1.0DAx90°に
等価球面することができます。
ほんとによく使う等価球面
乱視を減らして等価球面する方法を、2回も書きました。
理由は、この等価球面はほんとに実際によく使う方法なんです。
ピントのイメージ、できたかな。

ぜひ!できるようになってほしい!
そのためには
度数をみて計算できるようになることも大切だけど、もっと基本の、ピント位置のイメージができている方が理解しやすいよなぁーと考えてます。
S面だけでの等価球面がややこしかった人は等価球面シリーズ①から見てくださいね。

練習問題でイメージを固める
何問か練習問題をして、イメージを固めます。
はじめの度数のイメージ
乱視をC-2.0 Dにするため、前のピントと後ろのピントを最小錯乱円に近づけます。
乱視の幅を4.0Dから2.0Dにしたい。乱視を2.0D減らしたい。
なので、1.0Dづつ、前のピントと後ろのピントを最小錯乱円に近づけます。
度数を入れて考えるとこうなります。
S-0.5D:C-4.0DAx90°をC-2.0 Dで等価球面すると、S-1.5D:C-2.0DAx90°
最小錯乱円の位置を考えて、合ってるか確認しましょう。
最小錯乱円の位置=S面だけで等価球面した度数です。
S-0.5D:C-4.0DAx90°の最小錯乱円の位置は、乱視の半分量の2.0Dを
後ろのピントのS-0.5Dに加えてピントを左に動かした場所です。
ピントが左に動くと近視の度数は大きくなる
なので最小錯乱円の位置は、S-0.5Dに2.0Dを足してS-2.5D
同じように考えて
S-1.5D:C-2.0DAx90°のS面の等価球面は、C-2.0Dの半分量の1.0DをS-1.5Dに加える。
最小錯乱円の位置は、S-2.5Dです。
どちらも最小錯乱円の位置がS-2.5Dになるので、
S-0.5D:C-4.0DAx90はS-1.5D:C-2.0 DAx90°にすることができます。
計算のコツは等価球面値を極めるシリーズ②を見てくださいね

はじめの度数イメージ
乱視の幅を2.0Dから1.0Dにしたいので、半分の0.5Dづつを最小錯乱円の方向に動かす。
度数を入れて考えるとこのイメージ
S+3.0D:C-2.0 DAx90°をC-1.0Dで等価球面したいときは、S+2.5D:C-1.0DAx90°にする。
最小錯乱円の位置を考えて、合っているか確認しましょう。
S+3.0D:C-2.0DAx90°の最小錯乱円は乱視の半分の1.0DをS+3.0Dに加えて、S+3.0Dのピントの位置を左に動かします。S+3.0Dのピントが左に動くので、遠視の量は少なくなります。
なので、S+3.0D:C-2.0DAx90°の最小錯乱円はS+2.0D。
同じように考えて、S+2.5D:C-1.0DAx90°の最小錯乱円はC-1.0 Dの半分の0.5DをS+2.5Dに加える。加えると、遠視の度数が減るので、最小錯乱円の位置はS+2.0D。
どちらもS+2.0Dになるので、等価球面しても大丈夫。
度数のイメージ
乱視をC-3.5Dから1.5Dにしたい。
2.0D乱視を減らしたい。
前のピントと後ろのピントを減らしたい乱視(2.0D)の半分づつ、最小錯乱円に近づける。
2.0Dの半分なので1.0Dづつ最小錯乱円に近づけます。
度数の変化のイメージはこうです。
S-1.0D:C-3.5DAx90°をC-1.5Dで等価球面すると、S-2.0D:C-1.5DAx90°になります。
確認しましょう。
S-1.0D:C-3.5 DAx90°の最小錯乱円を考えます。3.5Dの半分の乱視は1.75Dなので、1.75DをS-1.0Dに足します。
S-1.0Dの1.75D分ピントを左に動かすので、最小錯乱円の位置はS-2.75D
S-2.0D:C-1.5DAx90°の場合、乱視の半分量は0.75D。
S-2.0Dのピントを0.75D左に動かすので、最小錯乱円の位置はS-2.75D
どちらもS-2.75Dなので、等価球面できます。
度数のイメージ
等価球面で乱視をC-4.0DからC-2.0Dに変えたいので、1.0Dづつ後ろのピントと前のピントを最小錯乱円に向かって動かします。
動かしたい乱視の半分量を、前のピントと後ろのピントを動かすので、動かす量はC-1.0Dづつ最小錯乱円に向かって動かします。
動かした後のピントのイメージはこうなります。
S+1.0D:C-4.0DAx90°をC-2.0DにしたいときはS±0.0D:C-2.0DAx90°
最小錯乱円で確認します。
S+1.0D:C-4.0DAx90°の最小錯乱円は後ろのピントであるS+1.0Dから乱視の半分の2.0D動かした度数なので、S-1.0D
S±0.0D:C-2.0DAx90°の最小錯乱円は後ろのピントのS±0.0Dに乱視の半分の1.0D動かした場所にあるので、S-1.0D
最小錯乱円が同じなので、あってます。
S+3.0D:C-3.0DAx90°の度数イメージはこうです。
等価球面で乱視をC-3.0DからC-1.5Dに変えたいので、0.75Dづつ後ろのピントと前のピントを最小錯乱円に向かって動かします。
動かした後のピントのイメージはこうなります。
S+2.25D:C-1.5DAX90°です。
S+3.0D:C-3.0DAx90°をC-1.5DにしたいときはS+2.25D:C-1.5DAX90°
等価球面を練習している間は、S面だけで等価球面する度数とあっているか答え合わせするようにしましょう。
この度数の場合…
S+3.0D:C-3.0DAx90°は乱視が3.0D。乱視の半分は1.5D。
後ろのピントであるS+3.0Dに1.5D動かしたところが最小錯乱円なので、最小錯乱円の位置はS+1.5Dです。
S+2.25D:C-1.5DAX90°の乱視の半量は0.75D。
S+2.25Dから0.75D動かすと、S+1.5Dです。
どちらの度数も、最小錯乱円の位置がS+1.5Dで同じなので、あってますね。
C面をゼロにしたいときも同じイメージです。
前のピントと後ろのピントがだんだん近づいて、一緒になったところが最小錯乱円です。
前のピントと後ろのピントを最小錯乱円に近づける。
近づける量は、乱視の半分量です。
乱視が2.0Dあるので、1.0Dづつ最小錯乱円に動かすと、乱視がゼロ=最小錯乱円にピントがあいます。
このイメージでがんばりましょう
まとめ
今日のポイント

ちょっとづつ、なんかつながってきたー!
そう感じたら、続きをよんでくださいね。
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