オートレフで測った近視・遠視・乱視の値はバラついたりズレることがあります。特に子どものS面の近視は度数が強く、遠視は度数が弱くでます。

小学2年生のレフを測ったんだけど、1回目と2回目のオートレフの値が違うんです。

じゃぁ、マニュアルで測ってみてよ

・・・??マニュアル??なにそれ?
そう思ったら続きを読んでね

オートレフにはオートとマニュアル測定がある
オートレフは目のだいたいの度数を測る検査です。

遠くを見る時、近視・遠視・乱視はどのくらいあるのかなー?
という疑問をオートレフが測って教えてくれます。
眼科には自覚的検査といって、患者さんの答えを聞きながら測る検査と、他覚的検査といって患者さんが黙っていても検査ができるものがあります。
オートレフは他覚的検査の1つです。
目の度数を測るオートレフは、オート測定とマニュアル測定があります
オート測定は器械に出てくるマークと黒目に出てくる◎(まる)マークを合わすと、ここだよーという印が出てきて自動でピピピッと測ってくれます。
一瞬で測れます。早い!!
患者さんはオートレフの器械の中を見ると景色が見えて、絵がハッキリ見えたりぼやけて見えたりする。
オートレフは遠くを見る時の目の度数を測る器械。だけど、測るときは器械の中を見るので、人間は無意識に近くを見てると思って近くを見るときに使う調節力を使ってしまいます。
調節力を使ってしまうから、近視は本当の度数より大きな数値・遠視は少ない数値が出てしまう。
↓調節力のイメージ図
なので、オートレフは中の絵をぼやけたりハッキリさせたりして、調節力ができるだけ働くことがないように設定されています。
雲霧させると調節力が働きにくくなります。雲霧をすることで、できるだけ近視が強く出たり遠視が少なく出ないようにしてます。
オートモードとマニュアルモードの違い
オートモードは雲霧してピピピッ!!!と測ります。
測定結果は3回分の度数のデータが出てきます。
だけど3回測った結果ではなくて、実際はあのピピピッの間に何回も測定している。なので結果の3回は3回分のデータではなくて何十回も測ったなかの代表値というイメージです。(実際に何回加算されているのかはわすれました・・・。)
これでも十分です。十分。
昔のオートレフは、ほんとうに1回ボタンを押して1回測るという感じでした。それに比べたら、ピピピッッの間に何十回も測って測定してくれるなんてすごいことです。
でも調節力を考えると少し考えが変わります。

マニュアル測定があるやん
そう思ってしまうのです。
マニュアル測定は、名前のとおりマニュアルです。
取り扱い説明書を見るとオートショットで測定できないときはマニュアルモードにして測定してくださいと書いてあります。
でも、オートショットが取れないときだけではなくて、調節力のコントロールがうまくできにくい人にはマニュアル測定が向いています
マニュアル測定は3回分のデータを1回1回自分のタイミングで雲霧してから測るイメージ。オートモードより時間はかかるけど

1回1回雲霧をすることができるので、何回も雲霧をして調節がはいりにくいようにしたい!
そんな子どもには最適な方法です
視能検査学にも書かれていたので載せておきます。
アライメントが完了すると自動で測定を行うオートショット機能を搭載した機種も多いが、若年者や調節けいれんを伴う症例では、測定時に瞳孔が大きく変動し、調節が介入しやすいので、そのような症例ではオートショット機能などはオフにし、検者自身が測定のタイミングをとることが望ましい。視能検査学 (視能学エキスパート)
オートレフのマニュアル測定の測り方
トプコンのオートレフの場合、オートボタンがあってオレンジ色ならオートモード、タッチしてグレーになるとマニュアルモードです
オート測定は器械に出てくるマークと黒目に出てくる◎(まる)マークを合わすと、ここだよーという印が出てきて自動でピピピッと測ってくれます。
ジョイスティックのボタンを押し続けるとピピピッと測定して、測定が終わったら「finish」と出ます。
マニュアル測定の場合はボタンをタッチしてマニュアルに切り替えるか、ジョイスティックのボタンを測る前に半押しするとマニュアルになります。
オートレフのマニュアル測定は、測るたびに自分でジョイスティックのボタンをここだ!って時に押してピーピピッと測ります。
もう1回押してピーピピッこれを繰り返します
測るたびに機械がちゃんと雲霧(調節力をできるだけ働かせないようにする)してくれます
オートレフはマニュアルで何回測ればいいの?
基本は3回です
でも測っていると近視度数が減っていく感じがあれば、度数が安定するまで何回も測ります
どこまでオートレフの近視が減るか??ドキドキしますね
昔のオートレフを知っている人なら、今はオートレフがめちゃくちゃ進化してて、オート測定でもきっちり測れるよ、と思うかもしれません。今はフルオートの時代ですからね。瞳孔に入って測定ボタンを押せば、何かしら度数を測定してくれます。
問題はその測定結果の見かたと正しさです

やっぱり子供はオートよりマニュアル測定がいいよ!
その理由を次の項で説明します
実際にオートレフのマニュアル測定で測定した結果
実際にマニュアルで測った結果です
緑枠が安定したかな、と思った値です
近視の数値がどんどん減っています。雲霧を何回もすることで調節がすこしづつ減ってきているからです。
もう1つ。マニュアルで測定
その後、同じ人をオートモードで測定
同じ患者さんです。
右目はオートモードでも調節力がとれていますが、左眼はマニュアル測定よりオート測定の方が近視が強く出ています。
視力検査をするときは、オートレフの結果を参考にしながら測る場合が多いです。とくに初心者のあいだはオートレフの値を100%信じて視力検査をします
視力検査は自覚的検査。自分のイメージや思い込み患者さんの答えによって度数が変わってしまいます。
できるだけ正確に視力検査をするためには、その前のオートレフをできるだけ正確に測定することがポイントです。
オートレフを正確に測定して、オートレフの結果をキチンと理解できる技術が必要です
もし、マニュアル測定の仕方がわからない!とか、マニュアルで測定したくない!という場合は、オートモードでもいいので3回くらい測定してばらつきがないか確認するといいかなと思います。
オートモードで3回測るとプリントアウトするペーパーも3枚になります。すべてカルテに貼るといいと思います。
(※追記:機種によっては、オートモードでも続けて測定できて、ペーパーも1枚で出てきます。ご自身の施設のレフをいろいろ触ってみて、確認してみてください。)
されど差が出るオートレフ
まとめ・マニュアル測定はおすすめ
- オートレフは調節力が入る
- オートモードよりマニュアルモードの方が調節力がとれやすい
- オートレフは小さい子供や小学生はマニュアルで測定するのがおススメ
- マニュアル測定をしにくいときは、オート測定を2~3回しよう
眼科で検査を始めると、視力検査・メガネあわせ・斜視弱視の検査・コンタクト、、、たくさん検査があって早くわかるようになりたい!検査を上達させたい!と思うと思います。
でも、意外に大切なのが基本中の基本の視力検査よりまだ手前にあって、だれでも測れると思われているオートレフの検査です。
だって・・・
ハンフリー、メガネ合わせ、コンタクト合わせ、ぜんぶ視力検査を基盤にして、視力検査の結果をもとに検査をします。
その視力検査のとき、頼りにしているものは・・・?
視力検査のとき、参考にしながら測るのは・・・?
オートレフの結果です。
だれでもボタンを押したら測れるオートレフだけど、オートレフを丁寧にとるかどうかで視力検査のときに違いがでるし、視力検査の後にするハンフリーやメガネ処方にもつながります
オートレフはすべての検査の土台となる検査。マニュアル測定使ってみてくださいね。

コメント